
グローバル化が進む現代、外国人役員をサポートする秘書の役割はますます重要になっています。特にスケジュール調整は、ビジネスの成否を分ける極めて重要な業務です。しかし、単に英語ができるだけでは、多忙な役員の時間を守り抜くことはできません。
言語の壁だけでなく、文化的な背景やコミュニケーションスタイルの違いを理解し、相手に合わせた柔軟な対応が求められます。この記事では、外国人役員のスケジュール調整をスムーズに行うための具体的な英語フレーズや、信頼を勝ち取るためのマナーを詳しく解説します。
これから英語を使って秘書業務に挑戦したい方や、現在の多忙な調整業務をより効率化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。ビジネスパートナーとして認められるためのヒントが詰まっています。

外国人役員をサポートする際、最も意識すべきなのは「時間の概念」と「意思決定のスピード」の違いです。日本の企業文化では、プロセスや根回しを重視することが多いですが、欧米をはじめとする外国人役員は、結果と効率を最優先する傾向があります。
外国人役員にとっての秘書は、単なる事務作業の代行者ではなく、ビジネスを共に推進するパートナーとして期待されることが多いです。指示を待つのではなく、役員の意向を先読みして行動する姿勢が求められます。
例えば、役員がどのような会議を重視し、どのような人物との面会を優先すべきかを深く理解しておく必要があります。この理解があれば、急なアポイントの依頼に対しても、役員に確認することなく「今は優先順位が低いためお断りする」といった判断ができるようになります。
上司の時間を守る「ゲートキーパー(門番)」としての役割を果たすためには、会社のビジョンや現在進行中のプロジェクトを把握し、常に全体像を見渡しながらスケジュールを構築することが大切です。
英語圏のビジネスコミュニケーションにおいて、最も嫌われるのは「曖昧さ」です。日本語では「前向きに検討します」や「難しいかもしれません」といった表現で濁すことが美徳とされる場合もありますが、外国人役員に対しては逆効果です。
スケジュール調整においても、空いているのか、埋まっているのかを即座に伝えることが信頼に繋がります。もし確認が必要な場合でも、「〇時までに回答します」と期限を切り、保留の状態を最小限に留める工夫が必要です。
また、断る際も「理由」と「代替案」をセットで提示することで、相手に対する敬意を示しつつ、スムーズな再調整を促せます。ストレートな物言いに最初は戸惑うかもしれませんが、明確な意思表示こそがプロフェッショナルとしての証となります。
多くの外国人役員にとって、家族との時間や休暇などのプライベートは、仕事と同じくらい、あるいはそれ以上に重要視される要素です。スケジュールを組む際は、業務時間外や週末に安易に予定を入れないよう配慮しましょう。
また、長期休暇の取得も当然の権利として捉えられています。数週間前から休暇期間を確認し、その前後に重要な会議が重ならないよう調整するのが秘書の腕の見せどころです。役員がリフレッシュして最高のパフォーマンスを出せる環境を整えるのも、大切な業務の一つです。
日本人役員以上にオンとオフの切り替えがはっきりしていることが多いため、役員個人の価値観やライフスタイルを早期に把握し、それに寄り添ったスケジューリングを心がけることが、長期的な信頼関係の構築に役立ちます。
スケジュール調整の現場では、正確かつ丁寧な英語表現が不可欠です。相手との距離感や状況に合わせて、適切なフレーズを使い分けられるようになりましょう。ここでは、アポイントの打診から変更まで、頻出の表現をご紹介します。
相手の都合を聞く際や、こちらから日時を提示する際に使えるフレーズです。相手が忙しい役員クラスであれば、複数の候補を提示して選んでもらう形式が最も親切です。
相手の都合を尋ねる
・Would you be available for a meeting next week?
(来週、会議のお時間はございますか?)
・Please let me know your availability for a 30-minute call.
(30分ほどの電話会議が可能な日時を教えてください。)
具体的な日時を提示する
・He would like to suggest the following time slots:
(彼は以下の時間帯を提案しております。)
・Does Friday at 2 p.m. work for you?
(金曜日の午後2時はいかがでしょうか?)
「available」や「convenient」は定番の単語ですが、より口語的でビジネスでもよく使われる「work for you(都合が良い)」という表現も覚えておくと非常に便利です。相手が返答しやすいように、具体的な日時と所要時間をセットで伝えるのがコツです。
急な会議の割り込みなどで予定を変更しなければならない場合、迅速かつ誠実な連絡が求められます。単に変更をお願いするだけでなく、お詫びの言葉を添えるのがマナーです。
リスケジュールをお願いする
・Due to an urgent matter, we would like to reschedule our meeting.
(急用のため、会議の日程を変更させていただきたく存じます。)
・Could we move the meeting to another day?
(会議を別の日に移すことは可能でしょうか?)
お詫びの言葉を添える
・I apologize for any inconvenience this may cause.
(ご不便をおかけして申し訳ございません。)
・We appreciate your flexibility.
(柔軟なご対応に感謝いたします。)
「reschedule」は動詞としても名詞としても使えますが、より丁寧に伝えるなら「Could we move...」のように提案の形をとるのが一般的です。理由を細かく説明しすぎず、「urgent matter(急用)」や「unforeseen circumstances(予期せぬ事態)」と簡潔にまとめましょう。
日時が決まったら、場所(または会議用URL)や参加者、アジェンダを共有して最終確認を行います。この段階で認識の齟齬があるとトラブルの原因になるため、慎重にメッセージを構成します。
確定を伝える際は「I would like to confirm our meeting on...」や「This is to confirm our appointment...」といった書き出しがスムーズです。また、会議の招待状(Calendar Invite)を送る旨を伝えると、相手も予定に入れやすくなります。
最後に「I look forward to seeing you then.(当日お会いできるのを楽しみにしています)」といった一言を添えることで、ポジティブな印象を与え、良好なビジネス関係を維持することができます。丁寧さと簡潔さのバランスを保つことが、秘書としての英語コミュニケーションの要です。
英語での時間表記の注意点
午前・午後を明確にするために「a.m. / p.m.」を必ず付けましょう。また、12時前後の表記は混同しやすいため、「noon(正午)」や「midnight(真夜中)」を使うと間違いがありません。曜日の書き忘れにも注意が必要です。

外国人役員との仕事において、最大の障壁の一つが「時差」です。また、国によって異なる祝日やビジネスマナーも考慮しなければなりません。これらの要素を無視してスケジュールを組むと、大きな混乱を招く恐れがあります。
海外の拠点をまたいで会議を設定する場合、自分の地域の時間だけでなく、相手側のタイムゾーンを必ず明記しましょう。「JST(日本標準時)」や「EST(米国東部標準時)」といった略称を使い分けるのが一般的です。
調整の際は、相手にとって深夜や早朝にならないよう配慮することが鉄則です。例えば、日本と欧州であれば、日本の夕方が欧州の午前中にあたるため、この時間帯がゴールデンタイムとなります。どちらか一方に過度な負担がかからないよう、交互に時間をずらすなどの工夫も喜ばれます。
また、サマータイム(Daylight Saving Time)の有無も忘れずに確認してください。切り替わりの時期にアポイントを入れると、1時間のズレが発生してしまい、会議に誰も現れないといったトラブルに繋がりかねません。
外国人役員は非常にタイトなスケジュールで移動することが多いですが、秘書としては「移動時間」と「予備時間(バッファ)」を多めに見積もることが重要です。慣れない土地での移動には、交通渋滞や手続きの遅延がつきものです。
特に国際線のフライト後は、時差ボケ(jet lag)を考慮して、到着直後に重要な会議を入れないといった配慮が必要です。到着日は短時間のブリーフィングのみにするか、休息の時間を確保することで、役員がベストな状態で仕事に臨めるようサポートします。
スケジュール表には、単に会議の時間だけを書くのではなく、ホテルのチェックイン可能時間や空港への移動目安時間なども記載しておくと、役員が安心して動くことができます。こうした細やかな配慮が、役員からの信頼に直結します。
調整相手の国の祝日をカレンダーに入れておくことも、デキる秘書の必須テクニックです。日本では平日でも、相手の国では宗教的な行事や建国記念日で全社休業というケースは珍しくありません。
また、バカンスシーズンも国によって異なります。例えばフランスなどの欧州諸国では、夏季に数週間の休暇を取るのが一般的であり、その期間は一切の連絡が取れなくなることもあります。事前に「いつからいつまで休暇か」を把握し、重要な案件はそれまでに終わらせるよう調整します。
会議の形式についても、対面を好む文化か、ビデオ会議で効率的に済ませたい文化かなど、相手の国籍や社風に合わせた調整を心がけましょう。こうした「文化の文脈」を読む力こそが、グローバル秘書に求められる高度なスキルです。
| 地域 | 一般的なビジネスアワー(日本時間目安) | 注意すべき休暇・時期 |
|---|---|---|
| アメリカ(東部) | 22:00 〜 翌07:00 | 感謝祭(11月)、クリスマス休暇 |
| イギリス・欧州 | 17:00 〜 翌02:00 | 夏季休暇(7-8月)、イースター |
| 中国・アジア諸国 | 10:00 〜 19:00 | 旧正月(春節)、各国独自の祝祭日 |
多忙な役員の時間を管理するには、個人のスキルだけでなく、最新のデジタルツールを使いこなすことが不可欠です。情報を一元化し、リアルタイムで共有することで、連絡ミスを防ぎ、調整のスピードを格段に上げることができます。
GoogleカレンダーやOutlookなどの共有カレンダーは、秘書業務の生命線です。役員の予定を単に登録するだけでなく、第三者が見たときに「何をしているか」が明確に伝わるように工夫しましょう。
タイトルには会議名だけでなく、場所や参加者の氏名、関連するドキュメントのリンクを添付しておきます。また、公開範囲の設定(プライベートな予定か、社内に公開してよい予定か)を正確に行うことで、役員のプライバシーを守りつつ、社内からのアポイント依頼を受けやすくします。
さらに、色分け機能を活用するのもおすすめです。例えば「社内会議は青」「顧客との面談は赤」「移動時間はグレー」のように視覚的に分類することで、役員が一目でその日の忙しさや重要度を把握できるようになります。
複数のタイムゾーンをまたぐ調整をすべて手作業で行うのは非効率であり、ミスの原因にもなります。時差計算には「World Time Buddy」などの専門サイトやアプリを活用しましょう。複数の都市の時間を並べて比較できるため、最適な時間帯をすぐに見つけられます。
また、相手に候補日を選んでもらうための日程調整ツール(Calendlyやeeasyなど)も、外国人役員とのやり取りでは一般的になりつつあります。秘書が自分の空き時間を設定し、そのURLを相手に送るだけで、相手が都合の良い枠を予約できる仕組みです。
こうしたツールを導入する際は、まず役員の承諾を得ることが重要ですが、導入できればメールのやり取りを大幅に削減できます。浮いた時間をより戦略的なサポート業務に充てることが可能になります。
SlackやMicrosoft Teamsといったチャットツールとカレンダーを連携させることで、会議の5分前にリマインドを通知したり、急な変更を即座に役員へ伝えたりすることができます。
外国人役員は移動中にスマートフォンで情報を確認することが多いため、すべてのツールがモバイル対応していることも重要です。通知の出しすぎは役員の集中を妨げる可能性があるため、どのタイミングで、どの情報を送るべきかのルールをあらかじめ決めておくとスムーズです。
また、AIを活用した議事録作成ツールや翻訳機能も積極的に取り入れることで、スケジュール調整に付随する事務作業の負担を軽減できます。テクノロジーを味方につけることで、秘書業務の質は劇的に向上します。
デジタルツール活用のヒント
役員が特定のデバイス(iPhoneやiPadなど)にこだわりがある場合、その端末で最も見やすい形式を研究しましょう。フォントサイズやカレンダーの表示形式一つでも、役員のストレスを減らすことに繋がります。
秘書としての技術や英語力がどれほど高くても、役員との信頼関係がなければ、真に効果的なサポートはできません。外国人役員から「頼りになるパートナー」として認められるための、コミュニケーションの真髄について考えます。
役員は常に多くの人から時間を求められています。すべての依頼をカレンダーに入れてしまうと、役員が考える時間や休息する時間がなくなってしまいます。時には勇気を持って、外部からの依頼に「No」を言う、あるいは優先順位を下げる調整が必要です。
もちろん、ただ断るのではなく「現在は中期経営計画の策定に集中しているため、外部の面談は来月以降に調整しております」といった正当な理由を添えることが重要です。役員に対しても、「この会議への出席は本当に必要ですか?」と問いかけ、より価値の高い仕事に時間を使えるよう促す姿勢が評価されます。
自分の判断に自信を持つためには、役員との定期的なシンクロナイズ(意思疎通)が欠かせません。役員の頭の中にある優先順位を常にアップデートし、自分の判断基準を役員のそれに近づけていく努力を続けましょう。
多忙な役員ほど、秘書との対話の時間を後回しにしがちです。しかし、週に一度、あるいは一日の終わりに15分程度でも、直接コミュニケーションを取る時間を確保することを強く推奨します。
この時間は、単なる予定の確認だけでなく、「最近の体調はどうか」「懸念している案件はないか」「今後の長期的な予定をどう組むべきか」などをすり合わせる貴重な場となります。メールやチャットだけでは伝わらないニュアンスを汲み取ることができるためです。
外国人役員は率直なフィードバックを好む傾向にあるため、こちらからも「このスケジュールは少しタイトすぎました」などの意見を正直に伝えましょう。お互いの期待値を合わせることが、円滑なサポートの土台となります。
役員のスケジュールは、その役員の「社内外でのイメージ」を形作る要素でもあります。常に時間に追われて遅刻してくる役員と、余裕を持って現れ、準備万端で会議に臨む役員では、周囲からの信頼が全く異なります。
秘書は、役員がどのような「ブランド」として周囲に見られたいかを理解し、それをスケジュールで演出するプロデューサーのような視点を持つべきです。会議の前には必ず「準備の時間」を入れ、移動には「余裕」を持たせ、食事の時間も「質の高いネットワークの場」として設定します。
役員が最高の自分を表現できるよう、時間という資源を戦略的に配分すること。この視点を持って仕事をしていれば、あなたは単なる秘書を超えた、不可欠な存在として重宝されるはずです。
信頼を深めるための「パーソナル・インフォメーション」
役員の家族の誕生日、趣味、好きな食べ物などをさりげなく把握しておくことも大切です。出張先のレストラン予約や、記念日の贈り物手配などでこうした情報を活用できると、「自分を理解してくれている」という深い信頼に繋がります。

外国人役員の秘書として活躍するためには、高い英語力だけでなく、文化の多様性を尊重し、論理的かつ迅速に判断を下す力が求められます。スケジュール調整は、役員の人生という貴重なリソースを管理する、非常にクリエイティブで責任ある仕事です。
今回ご紹介したように、以下のポイントを意識することで、業務の質は大きく向上します。
・ビジネスパートナーとしての自覚を持つ:受動的ではなく、主体的・戦略的に時間を管理する。
・明確な英語表現をマスターする:曖昧さを排除し、丁寧ながらも結論を先に伝えるコミュニケーションを心がける。
・グローバルな視点を持つ:時差、祝日、文化的な価値観をスケジューリングに反映させる。
・テクノロジーを最大限に活用する:デジタルツールで効率化し、人的ミスを徹底的に排除する。
・信頼関係を構築する:定期的な対話を通じて、役員の意向やブランドイメージを深く理解する。
最初は言葉の壁や文化の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、一つひとつの調整を丁寧に行い、役員のパフォーマンスを最大化させることで、必ず「あなたがいなければ困る」と言われる日が来ます。
この記事で学んだフレーズやテクニックを日々の業務に取り入れ、外国人役員を支えるプロフェッショナルな秘書として、さらなるキャリアアップを目指してください。