建築現場で外国人作業員へ指示を出す英語のコツとすぐに使える現場フレーズ集

近年、日本の建設業界では人手不足の影響もあり、多くの外国人作業員が活躍しています。現場監督やリーダーとして働く方の中には、英語でのコミュニケーションに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。言葉の壁によって指示が正確に伝わらないと、作業の遅延だけでなく、重大な事故につながる恐れもあります。

 

この記事では、建築現場で外国人作業員へ指示を英語でスムーズに伝えるためのポイントを詳しく解説します。難しい英単語を覚える必要はありません。現場で今日から使えるシンプルな表現や、誤解を防ぐための工夫をまとめたので、ぜひ参考にしてください。英語が苦手な方でも、ポイントを押さえれば確実な指示出しが可能になります。

 

建築現場で外国人作業員への指示を英語で行うための基本ルール

 

建築現場という特殊な環境では、丁寧で長い文章よりも、短く正確に伝わる言葉が求められます。英語が堪能である必要はなく、相手が何をすべきかを瞬時に理解できるかどうかが重要です。まずは、指示出しの際に意識すべき3つの基本原則について見ていきましょう。

 

短くシンプルな単語で指示を出す

 

英語で指示を出す際、最も大切なのは「1文を短くすること」です。中学校で習うような基本的な単語を使い、主語と動詞が明確な文章を心がけましょう。例えば「あそこに置いてある資材をこっちに運んでおいてくれるかな?」という指示は、英語では"Move this to there."(これをあっちへ動かして)だけで十分伝わります。

 

丁寧な表現をしようとして "Could you please..." や "I would like you to..." といった前置きを長くすると、肝心の「何をすべきか」という動詞が聞き取りにくくなってしまいます。現場ではまず結論となる動詞を先に伝え、その後に場所や対象物を指定する形が最も効率的です。相手も英語が母国語ではない場合が多いことを念頭に置きましょう。

 

また、句動詞(動詞+前置詞)の使用も避けたほうが無難です。例えば "Take off"(脱ぐ・外す)の代わりに "Remove"(取り除く)を使うなど、一つの意味に対して一つの単語を割り当てるようにすると、聞き間違いを減らすことができます。シンプルイズベストの精神で、必要最小限の言葉を選ぶことがスムーズな指示の第一歩です。

 

曖昧な表現を避けて具体的に伝える

 

「適当に」「いい感じに」「少しだけ」といった曖昧な表現は、建築現場でのミスを誘発します。特に文化や習慣が異なる外国人作業員に対しては、具体的な数字や名称を使って指示を出すことが不可欠です。例えば「もう少し右」ではなく"10 centimeters to the right"(右に10センチ)と伝えましょう。

 

また、「あれ」「それ」といった代名詞の多用も避けるべきです。現場には多くの資材や道具があるため、指を差しながらであっても誤解が生じることがあります。"That board"(あの板)や "This hammer"(このハンマー)など、対象物の名前をしっかり呼ぶことで、作業の正確性が格段に向上します。

 

さらに、完了の定義を明確にすることも重要です。「掃除しておいて」という指示だけでは、掃き掃除だけで終わるのか、拭き掃除まで含めるのかが伝わりません。"Clean the floor and put the trash in the bin."(床を掃除してゴミをゴミ箱に入れて)というように、一連の動作を具体的に切り分けて伝える習慣をつけましょう。

 

肯定文を使って誤解を防ぐ

 

安全に関わる指示を出す際、ついつい「?しないで」という否定文(Don't...)を使いがちですが、実は肯定文で「?して」と伝える方が誤解を防ぎやすいと言われています。騒音の激しい現場では、否定の "Don't" が聞き取れず、後ろの動詞だけが耳に残ってしまい、逆の行動をとってしまうリスクがあるからです。

 

例えば「ここに入らないで」と言う代わりに、"Keep out"(立ち入り禁止)や "Stay here"(ここにいて)と言うほうが、取るべき行動が明確になります。また、「走るな」と言うよりも "Walk slowly"(ゆっくり歩いて)と伝える方が、作業員が次にすべき動作に直結するため、安全管理の面でも非常に有効な手段となります。

 

どうしても禁止事項を伝える必要がある場合は、"Stop!" と短く制止してから理由を説明するようにしましょう。肯定的な言葉選びは、現場の雰囲気を前向きにする効果もあります。指示を受ける側も、「ダメ」と言われ続けるより「こうしてほしい」と言われる方が、心理的なストレスを感じることなく作業に従事できるというメリットがあります。

 

英語での指示出し3つの鉄則
1. 1つの指示には1つの動詞だけを使う(One command, one verb)
2. 数字や場所は具体的に指定する(Be specific with numbers)
3. 相手の目を見て、はっきりと発音する(Eye contact and clear voice)

 

現場で必ず使う安全管理と危険予知の英語フレーズ

 

建築現場において、安全管理は何よりも優先されるべき事項です。外国人作業員に対して最も頻繁に、そして正確に伝えなければならないのが安全に関する指示です。咄嗟の判断が求められる場面で、迷わずに言葉が出てくるように、定型フレーズとして暗記しておくことをおすすめします。

 

「危ない!」を伝える緊急時の英語

 

危険が迫っている瞬間に、長い文章を考えている暇はありません。最も短く、かつ誰にでも伝わる言葉は "Watch out!" または "Look out!" です。これらは「危ない!」「気をつけろ!」という意味で、現場で最も多用される緊急フレーズです。大きな声で叫ぶだけでも、周囲に危険を知らせる十分な合図になります。

 

上から物が落ちてくるような場面では "Heads up!"(頭上注意!)という表現もよく使われます。これは「頭を上げろ」という意味ではなく、「頭上に気をつけろ」という警告です。また、作業をすぐに止めさせたい時はシンプルに "Stop!" と叫びましょう。これらの言葉は、理屈ではなく反射的に反応できるように、日頃から現場で声出し確認を行っておくことが大切です。

 

緊急時以外の注意喚起としては "Be careful"(気をつけて)が一般的ですが、これに場所を付け加えるとより親切です。"Be careful of the step"(足元に気をつけて)や "Be careful of the crane"(クレーンに気をつけて)など、具体的に何が危険なのかをセットで伝える習慣をつけましょう。これにより、作業員の危険予知能力(KY)を高めることにもつながります。

 

保護具の着用を確認する表現

 

建築現場への入場時や作業開始前には、保護具(PPE: Personal Protective Equipment)のチェックが欠かせません。ヘルメットを正しく被っているか、安全帯を装着しているかを確認する際は、"Wear your helmet."(ヘルメットを被ってください)というフレーズを使いましょう。より強制力を持たせたい場合は "You must wear..." という表現になります。

 

「顎紐を締めて」と言いたい時は "Fasten your chin strap" と言います。また、安全靴(Safety shoes)や手袋(Gloves)、安全メガネ(Safety glasses)など、部位に応じた単語を覚えておくと便利です。確認する際は、単に命令するだけでなく "Check your safety gear."(装備をチェックして)と促し、作業員自身に再確認させるのが効果的です。

 

もし装着を忘れている作業員がいたら、指を差しながら "Safety belt, please." と言うだけでも十分伝わります。日本の現場では当たり前のルールであっても、国によっては習慣が異なる場合があります。「なぜそれが必要なのか」を短く "For your safety"(あなたの安全のために)と付け加えることで、納得感を持って着用してもらえるようになります。

 

足元や頭上の注意を促す言葉

 

建築現場は常に足場が不安定であったり、段差が多かったりします。転倒事故を防ぐためには、移動時や作業中の足元への注意喚起が重要です。"Watch your step"(足元に注意)は、看板などでもよく見かける定番のフレーズです。また、床が濡れて滑りやすい場合は "The floor is slippery"(床が滑りやすい)と具体的に状況を伝えましょう。

 

頭上の注意については "Watch your head"(頭上に注意)を使います。低い梁や足場のパイプがある場所を通る際に声をかけます。吊り荷の下に入らないように指示する場合は "Don't walk under the load"(吊り荷の下を歩かないで)とはっきり伝えましょう。これは重大事故に直結するため、ジェスチャーを交えて厳格に伝える必要があります。

 

さらに、開口部や端部など、墜落の危険がある場所では "Danger, fall hazard"(危険、落下の恐れあり)という言葉が役立ちます。言葉だけでなく、カラーコーンやトラテープなどの視覚的な補助とセットで説明することで、日本語が全くわからない作業員であっても、その場所の危険性を直感的に理解できるようになります。

 

よく使われる保護具の英語名称
・Helmet(ヘルメット):Helmet / Hard hat
・安全帯:Safety harness
・安全靴:Safety shoes / Steel-toe boots
・反射ベスト:Safety vest / Reflective vest
・防塵マスク:Dust mask

 

作業内容や道具を英語で正しく伝えるための語彙力

 

現場での具体的な作業指示を出すためには、道具の名前や動作を表す英単語を知っておく必要があります。しかし、専門的な用語を全て英語で覚えるのは大変です。まずは、使用頻度の高い道具と、それに関連する基本的な動作から押さえていきましょう。カタカナ英語でも通じることが多いですが、正しい発音を意識するとよりスムーズです。

 

よく使われる工具・機械の名前

 

建築現場で毎日使うような道具は、日英で名称が似ているものもあれば、全く異なるものもあります。例えば、日本語で「プラスドライバー」と呼ぶものは、英語では "Phillips screwdriver" と言います。単に "Screwdriver" でも通じますが、先端の形状を区別したい時に役立ちます。逆に「マイナスドライバー」は "Flathead screwdriver" です。

 

電動工具については、"Power drill"(電ドル)や "Circular saw"(丸ノコ)などが代表的です。インパクトドライバーはそのまま "Impact driver" で通じます。大型の機械については、"Crane"(クレーン)、"Excavator"(ショベルカー)、"Forklift"(フォークリフト)などを覚えておきましょう。これらは現場での移動や配置を指示する際に必ず登場する単語です。

 

道具の名前が分からない場合は、"That tool"(あの道具)と言いながら指を差すだけでもコミュニケーションは成立しますが、あらかじめ主要な道具に英語のラベルを貼っておくなどの工夫をすると、作業員も名前を覚えやすくなります。正しい名称を使うことで、「どの道具を持ってくればいいか」という迷いを無くし、作業効率を高めることができます。

 

日本語 英語 主な用途
足場 Scaffolding 高所作業の床
脚立 Stepladder 昇降用の道具
水平器 Level 水平の確認
メジャー Tape measure 寸法の測定
ハンマー Hammer 釘打ちなど

 

運搬や整理整頓に関する指示表現

 

現場の清掃や資材の運び込みは、新人や外国人作業員に任せることが多い作業です。「これをあそこに運んで」という指示は "Carry this to that corner"(これをあの角まで運んで)のように表現します。「置く」は "Put" や "Place" を使い、"Put it here"(ここに置いて)と言えば明確です。

 

整理整頓は安全管理の基本ですので、"Keep it tidy"(綺麗にしておいて)や "Clean up this area"(このエリアを掃除して)というフレーズも重要です。特に、資材を積み重ねる際は "Stack them neatly"(きれいに積み重ねて)と伝えると、崩落の危険を防げます。ゴミの分別についても、"Separate the trash"(ゴミを分別して)と具体的に指示しましょう。

 

また、重いものを運ぶ際は "It's heavy, use a cart"(重いから台車を使って)や "Two-person lift"(二人で持って)といった声掛けも大切です。無理な姿勢での作業による腰痛や怪我を防ぐために、運び方のコツも英語で伝えられるようになると、現場のリーダーとしての信頼も高まります。作業が終わったら "Good job"(お疲れ様)と声をかけるのを忘れないようにしましょう。

 

寸法や位置を指定する際に役立つ単語

 

建築作業において、「長さ」「高さ」「幅」の指定は非常にシビアです。数字を伝える際は、単位(ミリ、センチ、メートル)を必ず付け加えましょう。英語圏でもメートル法が一般的ですが、アメリカ出身の方などはインチやフィートを使う習慣があるため、"Use millimeters"(ミリ単位を使って)と共通認識を持っておくことが重要です。

 

位置を指定する際は、"Left"(左)、"Right"(右)、"Top"(上)、"Bottom"(下)のほか、"Center"(真ん中)や "Inside"(内側)、"Outside"(外側)といった単語を組み合わせて使います。「もう少し?」と言いたい時は "A little bit more..." と言います。例えば "A little bit more to the left"(もう少し左に)といった具合です。

 

垂直や水平を指示する際は、"Vertical"(垂直)や "Horizontal"(水平)という言葉もありますが、現場ではシンプルに "Make it level"(水平にして)や "Make it straight"(まっすぐにして)の方が伝わりやすいです。作業の精度を確認する際は、"Check the measurement again"(もう一度測り直して)と促し、ミスがないかダブルチェックを行うようにしましょう。

 

言葉以外のツールを活用してミスコミュニケーションを減らす方法

 

どれだけ英語を勉強しても、言葉だけで全てを伝えるのは限界があります。特に専門的な手順や複雑な図面の内容を説明する際は、視覚的な情報を活用することがミスの削減に直結します。言葉を「補完」するツールを使いこなすことで、言語の壁を乗り越えた確実な指示が可能になります。

 

写真やイラスト付きの指示書を作成する

 

「百聞は一見にしかず」という言葉通り、写真やイラストは最強のコミュニケーションツールです。その日の作業目標を伝える際は、完成予想図や前日の作業箇所の写真を見せながら説明しましょう。「今日はここをこのように作る」というイメージを共有するだけで、言葉での説明時間は半分以下になります。

 

特に、日本の建築現場特有の細かい仕上げの指示などは、イラストを描いて見せるのが最も確実です。ホワイトボードを活用したり、タブレット端末で写真を撮ってその場で赤ペン機能を使って指示を書き込んだりする手法は非常に有効です。指示を受けた作業員も、後で見返すことができるため、作業中の迷いが少なくなります。

 

また、安全標識や掲示物も多言語化しておきましょう。日本語だけの「足元注意」という看板よりも、転んでいる人のピクトグラム(絵文字)と、英語の "Caution: Slippery" が併記されている方が直感的です。誰が見ても一目で意味がわかるユニバーサルデザインを取り入れることは、外国人作業員だけでなく、日本人作業員のミス防止にも寄与します。

 

指差し確認やジェスチャーを取り入れる

 

言葉が通じにくい環境では、身体全体を使ったジェスチャーが大きな役割を果たします。「あそこ」と言うだけでなく指を差す、「止まれ」と言うときは手のひらを相手に向ける、「OK」の時は親指を立てるなど、大げさなくらいの動きを心がけましょう。これにより、周囲の騒音で声が聞き取りにくい場合でも、意思を伝えることができます。

 

日本の現場でよく行われる「指差し呼称」は、外国人作業員にもぜひ教えたい素晴らしい文化です。"Point and call"(指差し呼称)として、対象物を指差しながら "Checking, OK!" と声に出す習慣を共有しましょう。これにより、漫然とした作業による事故を防ぐことができます。最初は恥ずかしがるかもしれませんが、リーダーが率先して行うことで定着していきます。

 

また、作業員が指示を理解したかどうかを確認するために、"Do you understand?" と聞くだけでなく、「今の指示を自分の言葉で説明してみて」と促すのも有効です。これを "Back-briefing" と呼びます。言葉で説明するのが難しい場合は、実際にやるべき動作を真似させてみましょう。正しく理解していることがその場で確認できれば、安心して作業を任せられます。

 

翻訳アプリや専用ツールの上手な活用法

 

どうしても細かいニュアンスを伝えなければならない場面では、スマートフォンの翻訳アプリが強い味方になります。最近のアプリは音声入力の精度も高く、建築専門用語にも対応しつつあります。「Google翻訳」や「DeepL」などのアプリをすぐ起動できるようにしておき、困った時は迷わず頼りましょう。

 

ただし、アプリの翻訳結果が常に100%正しいとは限りません。翻訳された文章が長すぎると、不自然な意味になってしまうこともあります。翻訳アプリを使う際も、元の日本語を「主語+動詞」の短い文に分解してから入力するのがコツです。また、翻訳された英語をさらに逆翻訳して、元の意味とズレがないか確認するひと手間を加えるとより安心です。

 

最近では、建設業界に特化した多言語コミュニケーションアプリも登場しています。あらかじめ現場で使う定型文が登録されており、ボタン一つで翻訳された音声を流せるものもあります。こうした専用ツールを導入することで、現場監督の負担を軽減し、外国人作業員も「大切にされている」という安心感を持つことができるようになります。

 

翻訳アプリを使いこなすヒント
・日本語は「主語」を省略せずに短く入力する
・現場の騒音下では、テキストを見せる機能を活用する
・オフラインでも使えるように辞書データをダウンロードしておく

 

信頼関係を築くためのコミュニケーションと異文化理解

 

スムーズな指示出しの土台となるのは、現場での良好な人間関係です。外国人作業員を単なる「労働力」としてではなく、同じ現場を完成させる「チームメイト」として接する姿勢が求められます。文化の違いを尊重しつつ、歩み寄る努力をすることで、指示の通りやすさも劇的に変わっていきます。

 

挨拶と労いの言葉を大切にする

 

どんなに忙しくても、朝の「おはよう」と帰りの「お疲れ様」は欠かさないようにしましょう。英語では "Good morning" や "Good job today" と言います。これに相手の名前を付け加えるだけで、親近感はぐっと増します。「自分の名前を覚えてくれている」という事実は、作業員のモチベーションを大きく左右します。名前の読み方が難しい場合は、本人に聞き、メモしておきましょう。

 

また、作業が順調に進んでいる時には "Excellent" や "Very good" と褒めることも忘れないでください。日本人はつい「やって当たり前」と考えてしまいがちですが、海外ではポジティブなフィードバックが重視される傾向にあります。良い点を見つけて具体的に褒めることで、作業員は自信を持ち、より責任感を持って仕事に取り組んでくれるようになります。

 

休憩時間などには、仕事以外の世間話を少しだけ振ってみるのも良いでしょう。"How is your family?"(家族は元気?)といった簡単な一言で構いません。相手のプライベートを無理に聞き出す必要はありませんが、気にかけているという姿勢を見せることが、心の壁を低くし、いざという時の円滑なコミュニケーションにつながります。

 

「わかった」のサインを鵜呑みにしない確認

 

指示を出した後に相手が "Yes" と言ったり、頷いたりしても、実は半分も理解していないというケースは多々あります。これは相手に悪気があるのではなく、「わからないと言うのが恥ずかしい」、あるいは「わかったつもりになっている」ことが原因です。この「わかったフリ」が現場では最も恐ろしい事故の火種になります。

 

確認する際は "Any questions?"(質問はある?)と聞くよりも、"Show me how you do it."(どうやるか見せてみて)と実際に動いてもらうのが一番です。あるいは "Repeat what I said, please."(私が言ったことを繰り返してみて)と頼むのも良い方法です。自分の言葉で言い換えさせることで、理解が曖昧な部分が浮き彫りになります。

 

また、間違ったことをしているのを見つけたら、その場ですぐに指摘してください。後でまとめて注意すると、「さっきは何も言わなかったのに」と不信感を抱かせる原因になります。指摘する際は、人格を否定するのではなく「作業の手順が間違っている」という事実を淡々と、かつ優しく伝えることが、信頼関係を維持するポイントです。

 

宗教や習慣に配慮した休憩時間の考え方

 

外国人作業員の出身国によっては、特定の宗教的な習慣を持っている場合があります。例えば、イスラム教徒の方であれば、一日に数回のお祈りの時間が必要だったり、ラマダン(断食)の時期には体力が落ちやすかったりします。これらを「個人の勝手」と切り捨てず、現場のルールとの妥協点を探ることが重要です。

 

休憩時間の取り方についても、国によって感覚が異なります。日本の現場は時間がきっちりと決まっていますが、少し長めの休憩を好む文化もあります。現場の規律は守りつつも、「なぜその時間が必要なのか」をヒアリングし、お互いが納得できる形で運営できるよう配慮しましょう。こうした配慮は、作業員にとって「この現場は働きやすい」という評価につながります。

 

また、食事に関する習慣も様々です。一緒に昼食をとる機会があれば、豚肉やアルコールを避ける必要があるかなど、事前に確認しておくとトラブルを防げます。異文化を「理解できないもの」と排除するのではなく、一つの個性として受け入れる心の余裕を持つことが、多国籍なチームをまとめるリーダーには不可欠な素養と言えます。

 

信頼を築くための小さなアクション
・相手の国の挨拶(こんにちは、ありがとう等)を一つ覚えて使ってみる
・体調が悪そうなら "Are you okay?" と早めに声をかける
・指示を出すときは笑顔を心がけ、威圧感を与えない

 

建築現場での外国人作業員への指示と英語習得に向けた心構えのまとめ

 

建築現場で外国人作業員へ指示を出す際、最も重要なのは完璧な英語を話すことではありません。「安全に、確実に作業を終える」という共通の目的のために、いかに分かりやすく情報を伝えるかという工夫です。英語はあくまでそのための手段の一つに過ぎません。

 

まずは今回ご紹介した、短くシンプルなフレーズや具体的な指示出し、そして写真やジェスチャーの活用を実践してみてください。言葉が不十分でも、一生懸命に伝えようとする姿勢は必ず相手に届きます。また、日々のコミュニケーションを通じてお互いの信頼関係を深めることが、結果として最もミスの少ない現場を作り上げることになります。

 

現場監督やリーダーの皆さんが、英語を「壁」として捉えるのではなく、新しい仲間と協力するための「架け橋」として前向きに活用されることを願っています。少しずつ慣れていけば、多国籍なチームでの仕事はきっとあなたのキャリアにとっても大きな財産になるはずです。安全第一で、今日からの現場に活かしていきましょう。